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「ディアッカになれたら、ですか?」
「そう、間違いない。どういう意味だと思う?」

 アスラン観察部隊の会合はアカデミーのラウンジで開かれていた。部屋に入ろうとしたラスティの耳に飛び込んできた妙な言葉がきっかけで緊急招集された会合だ。

「あの肌の色がいいってことか?」
「まさか。そんな単純な話じゃないでしょう」

 二コルとラスティは頭をつき合わせる。アスラン観察部隊を結成して早速、アスランの奇妙な行動について話し合ってはみたものの、もともと分かりにくいアスランの言動はちょっと考えたところで分かるはずもなさそうだった。

「ていうか、オレ思ったんだけど、アスランが変なときって絶対イザークが絡んでると思わない?」
「イザークが?」

 思わぬ提案にニコルは眉根を寄せた。

「そ。だって今日の昼だって、あのときアスランが見てた方向にはイザークたちが座ってたんだぜ?」

 言われてみれば確かにそんな位置関係になるとニコルはうなずく。それに気をよくしてラスティはさらに続けた。

「それに、先週の爆薬処理のときだってイザークが分量間違えて煙出してた騒ぎがあっただろ」
「そういえば、そうですね」

 あの時、イザークが煙を出して騒ぎ立てアスランはそれに気を取られていたと考えればあの爆発未遂も納得できる。

「でも、なんでイザークなんでしょうか。確かにイザークはいつもアスランに突っかかってますけど」
「だよなー、そこが謎なんだよ。いくらイザークが絡んでもいつもさめてるくせにさ」
「だけどイザークがキーワードならディアッカになりたいというのもわかるかもしれないですね」
「わかるって?」
「だってイザークのいつも隣にいるのはディアッカですよ?」

 なるほどー、と古典的に手を打ってラスティは大げさに反応する。

「でも謎だなぁ」

 イザークがアスランに何かをしたわけじゃないのに、いやどちらかというとアスランに対する態度は相変わらずあきれるばかりの一方的なライバル意識に基づいたもので、それがアスランのおかしな態度を誘発しているなんてまったく説明のつかない話だった。

「もう少し調査が必要ですね」

 重々しくニコルがいい、ラスティは頭の後ろに腕を組んで天井を見上げる。

「それまでお互い無傷でいたいよなー」

 腐ってもアスラン・ザラ、彼が普通にやることはそもそもレベルが違うのだ。いつも彼の近くにいる自分たちは次にアスランが何かやらかしたときに巻き込まれる可能性が高いといえた。

「大丈夫でしょう。さすがのアスランも人の命にかかわるようなミスはしないでしょうし、万が一ドジを踏んでもリカバリー能力もずばぬけてるんですから」

 だといいけど、とラスティが不吉なことを言ってその日の会議は終了した。










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