「このまま議長のもとへ案内すればいいのか?」

 エンジンをかけたエレカはスムーズに発進した。それを確認して行き先を確かめる。

「いや、ラクスのところには明日にでも行くよ」
「何を言ってる、議長に用があるんだろう?」

 相変わらずどこかずれているアスランに軽くいらだちながらイザークが言うと、けろりとした顔でアスランはそれを否定した。

「ラクスに用はないよ、ただ連絡をしただけで」

 あわててブレーキをかけると前のめりになってから二人の体がシートに沈み込む。

「あぶないなぁ」

 のんきに苦情を口にする客人についにイザークはぶち切れた。

「なんだとっ、用がないだと! 貴様、じゃぁなんでプラントに来た?!」

 さんざん表だってプラントと関わることを避けておきながら。いっこうに連絡をしないでおいて。それが突然現れただけでも意味がわからないのに、まるで観光客のような物言いに元から短い堪忍袋の緒が切れるのは当然のことだった。ゲートで出会ってから抑え込んでいたものが一気に噴出する。

「だいたい、貴様はプラントには関わらないんじゃなかったのか? それがのこのこ現れたと思ったら何を言ってる? 一体何をしに来たっていうんだ!!」

 交差点の真ん中で立ち往生している車をアスランは横から手を出して自動誘導に切り替える。イザークは肩で息をして隣の席をにらみつけたままだ。
 緩やかにエレカは走り出す。ゆっくりとシートにもたれながらアスランは言葉を選びながらイザークに語りかけた。

「連絡をしなかったのは悪かったとは思うけど、久しぶりに会った人間に対してその態度はないんじゃないか」

 必死に押さえてはいるのだろうけれど、イザークの態度はラクスからの命令じゃなければ会った瞬間にでも怒りで殴りそうな勢いだった。

「そんなこと、言ったって、な…っ」






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