strawberry
「き、貴様ぁっ、なんだこれは〜!」
手が掛かった私服のチノパンのウエストはものの見事にずり下げられている。
「って、イザーク!やめてくれよ、そんな・・・」
「なんでこんなもの履いてるんだ」
強引に膝まで引き下げられたおかげで丸見えになっている下着は、なぜだか派手なイチゴ柄で。
「こんなの持ってなかったよな」
少なくともイザークの記憶にそんなパンツを履いているアスランなんてなかった。抜群の記憶力を持つ頭脳が言うのだからそれは間違いないはずだ。
「いや、だからそれは・・・」
「ラクス嬢のところに出かけていたそうだな・・・そこで着替えたというわけか」
確かめる口調は恋人というよりは新妻のような嫉妬がメラメラと感じられる薄ら寒い低音で。
「そのっ、だからこれには訳が・・・!」
「ほぉ・・・下着を履き替えるような訳とはどういう事情なんだ? ベッドで汚して仕方なく替えたのか」
淡々と紡ぎ出される言葉はすでにブリザードを帯びていて、聞かされる身が凍り付いていく。
一応アスランとラクスは婚約者ということになっている。だがその実は政略結婚のためのカタチばかりのフィアンセだった。定期的にクライン邸を訪れてはいるもののそれはアスランにしてみればアスラン・ザラとしての義務を果たすようなもので、花束や新作のハロを持って挨拶とおしゃべりをして帰ってくる、ただそれだけの関係なのだが、いくら説明したところでイザークはそれを信じてはくれない。だから毎回アスランがラクスのところへ行った日はすこぶる機嫌が悪い。
それがわかっていたからいつもならイザークの部屋にまっさきに顔を見せに行くのをやめて直接自分の部屋にやってきたというのに。
なぜだかそこにはイザークが待ち構えていて。
極力普通を装ってキスなんかしてたらなんとなく盛り上がってきてしまい、 ついうっかりイザークに隙を見せたらズボンを脱がされてしまって。
それを目にしたイザークが声を上げたわけだった。
派手なイチゴ柄のトランクスを履いたアスランに向かって――。
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