アスランのことで笑う、か。
考えないようにしていたのに、思わぬ指摘に改めて気づかされる。
アスランという存在の大きさに。
今はオーブにいるアイツは何をしているのだろう・・・。
しばらくデスクワークをこなしていたイザークはディアッカの言葉を思い出してメールをチェックしてみる。するとディアッカから画像が添付されたメールが届いていた。
『背景がいまいちだったから適当に加工しておいた。
あと、イザークのメルアド変わるんだろ。
登録するの面倒だからこれに返信しといてよ』
本文を読んだ後で画像ファイルを開いてみると、確かに味気ない書類棚だったはずの背景は紺に近いブルーの背景に変えられていて、白い軍服が引き立つようになっている。2枚の写真のうちの一人で立っている全身の写真を選ぶと、イザークは母親に宛てて新しくメールを書き始めた。
そしてそれを送信するとイザークはディアッカに新しいアドレスから返信を送ってやった。
そのままメール画面を閉じようとしていたイザークはアドレスの変更を知らせる必要がある人物の存在に気がついた。
今までのアドレスはあと1ヶ月ほどしか使えない。それまでにメールが届くことがあるならそのときに知らせればいいが、今までの状況を考えると向こうからメールを送ってくることはなさそうだった。
「別に、催促してるわけじゃない」
小さく言い訳のように言ってイザークはメールを新しく書き始める。
「昇進したから知らせてやるだけだ」
そういって書き慣れないメールの文言にさんざん迷った挙句、さっきと同じ、一人で映っている写真を添付してようやく送信ボタンを押したのは書き始めてから20分以上も過ぎてからだった。
だが、ほどなく『送信エラー』と派手な警告マークと共に、今送ったばかりのメールが戻ってきてイザークは言葉を失った。
「なっ・・・」
その理由は『受信拒否』
「このメールアドレスは送信先の都合により受信を拒否されました。ドメインの設定を確認して再度送信してください・・・だとぉ?」
思わぬ事態にイザークは何を言っていいのかわからなかった。
人がせっかく苦労して書いたメールを受信拒否するとはどういうことなんだ。
怒りに似た疑問が駆け巡るが、すぐにその理由に思い当たった。
今は亡命している立場なのだ。
ZAFTからのメールをやたらと受け付けて面倒に巻き込まれたらアスハに迷惑が掛かるという彼なりの配慮なのかもしれない。あいつならそれくらい念入りにするだろう・・・。
そこまで思い当たってイザークは戻ってきたメールの本文にさらに文章を書き足し始める。
それを書くイザークの口元は我知らず柔らかい表情が浮かんでいた。
『新しいアドレスで送ったら受信拒否されたぞ、どうなってるんだ。
受信限定してるのか、貴様らしいが・・・・・・』
fin.
2006/02/01
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