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ピピピピピピ…。
けたたましい電子音がして、ディアッカはのそりと起き上がった。イザークにはもちろんだが、いつも以上に繰り返し
その体を求めた自分もかなり疲労が残っていた。そして当然にイザークは起きる気配すらない。
それでもてきぱきと着替えるといつものようにイザークを起こしにかかる。
イザークは艦に乗っているときはスイッチが切り替わっているように寝起きがいいのだが、プラントに戻っているときは
まったく自分で起きることができず、寝起きは最悪だった。もともとがそうなので、ディアッカに抱かれた翌日は
特にひどく、それを起こすのはディアッカにとっての大仕事となっていた。
「おい、イザーク」
まずは普通に声をかけるが起きる気配は当然なく、軽く体をゆすってみても反応はない。
「おいってば」
言いながらその口元にキスをする。
「ん…」
やっと反応が返ってきたが、それでも瞼は閉じたまま、背中はベッドに張り付いている。
「起きろよ、朝だぜ」
言いながらディアッカは細い体を抱き起こす。
「…ん、ディ…ア……」
ゆっくりとした口調で名前を呼ばれて、ディアッカはそのまま体を抱きしめる。
「おはよう、イザーク」
まだ開ききっていない瞼にキスをしながら、ディアッカは至福のひと時をかみ締める。
普段の姿からは想像もつかないイザークのこんな姿。それを独り占めしている自分。
確かにイザークを起こすのは大仕事だったが、それでもこんな姿を自分にだけは見せてくれるということを感じられて、
それはそれでディアッカにとってはシアワセなことだった。
「…おは…よう」
いつも以上に寝ぼけぶりが激しくて、ディアッカの口元は緩む。疲れて帰ってきたイザークにあんなにやって
悪かったかな、と思いつつ、それでもかわいさに嬉しくなってしまう。
「起きてる? 大丈夫?」
顔を覗き込んでみるが、なんとか開いた目もどこかぼーっとしていて意識はまだ完全に寝ているようだった。
「ほら、顔洗ってこいよ」
促すとイザークはふわふわとしたまま起き上がる。洗面スペースに向かうイザークを確認しながら、ディアッカは
着替えを手早く用意する。アンダーウエアにソックスに上着、ブーツまでの一揃え。それにはあのスカートが
紛れ込ませてある。
「イザーク?」
いつもより時間がかかっているようなので、ディアッカはイザークの様子を覗き込む。そこにはなんとか顔は
洗ったらしいが、壁に寄りかかるようにして再び眠りそうになっている姿があった。それにディアッカは苦笑する。
「ほら、髪とかせよ」
「お前……やれ…」
寝ぼけているのに命令口調。それに肩をすくめながら、それでもブラシを取り出すと慣れた様子でその銀の髪を
梳きとかす。
さらさらと揺れるストレートヘアにはねたところがないのを確認すると、ディアッカはイザークを引っ張った。
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