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「で、どうだったんだ?」
夜、イザークの部屋にやってきたディアッカに部屋の主は聞いてきた。
「何が?」
だがその返事は興味なさそうな声だった。
「射撃が、だ」
「あぁ・・・。まぁ副官としては恥にならない程度にはやりましたけど」
アルコールを口にしながらディアッカは片目を瞑る。
「そうなのか?」
「・・・そうだと思うけど」
「その割には問い合わせが殺到したぞ」
笑いながら言うイザークにディアッカはそちらに顔を向ける。
「問い合わせ?」
「『ディアッカさんって何者なんですか』ってな」
「なんだそりゃ」
自分の飲んでいるのと同じものを別のグラスに注ぎながらディアッカはイザークに差し出す。それを受け取りながらイザークは楽しそうに続けた。
「シホ以外に野次馬が大勢いたんだろ? それがそのまま来た感じだったぞ」
そのときの様子を思い出しながらイザークは言う。
「はぁ・・・そりゃご苦労なことで。・・・でイザークは何て言ったわけ?」
「俺の昔馴染みで元同僚だと言っておいたぞ」
そんなきっかけでもなければ隊長に直接聞く奴もいなかったんだろう、とイザークは付け足した。
「昔馴染みで元同僚ねぇ・・・」
その言い方にイザークはディアッカを観察する。
「なんだ、不満か?」
「いや、不満てわけじゃないけど」
「じゃぁ何なんだ」
「さすがに、恋人って公表するわけにはいかないかーと思って」
とたんにふざけだしたディアッカにイザークのトーンは上がる。
「当たり前だ! 調子に乗るな」
そういうイザークの腕を掴まえるとディアッカはすかさずその胸に抱き寄せる。
「・・・じゃ、それは公然の秘密ってことで」
「公然になんかできるか!」
「冗談が通じないやつだなー。ま、それがイザークだけどな」
言ってディアッカは腕の中の恋人をそっと抱きしめる。
「ふん」
鼻を鳴らすイザークはけれどまんざらでもないようで抵抗はしてこない。
「隊長が人気あるのはいいことだけどさ、オレとしてはいろいろ大変みたいだなー」
「何が大変なんだ?」
そう言うイザークはディアッカの掌に自分の指先を絡めてくる。
「中間管理職の苦悩ってやつ?」
「何を言ってるんだ」
訳が分らないというイザークにディアッカは構わずに口付ける。
「ま、イザークには関係ない話だけどね。せいぜい副官としてがんばりますよ、ってこと」
「当然だな、俺の副官はお前以外に務まらないからな」
偉そうに言うイザークの告白。
「嬉しい告白してくれるじゃん」
にやにやしながら言うディアッカにイザークはさらりと否定する。
「告白なんかじゃないぞ」
「じゃぁ何なんだよ?」
口をとがらせながらディアッカが言うと、イザークは口の端をあげて笑いながら、こともなく言った。
「当たり前のことを確認したまでのことだ」
自分の隣に在るのは、常にお前だということを。
その言葉に嬉しそうに目を細めると、ディアッカは恭しく傅いて上官の軍服に手を掛けるのだった――。
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