「まず、フレッシュオレンジジュースだね」
ディアッカの提案にイザークははっきりとは答えない。けれど、断ることはないとわかっていた。
「イザーク」
自分に近づいてくるディアッカにイザークは今度こそはっきりと顔をしかめた。
「まだ治ってないぞ」
「でもいいじゃん」
近づいてくるディアッカからほんのりとオレンジの香りがした。触れるだけの口付けは気のせいかいつもよりも甘い。
「・・・それ、切れよ」
ディアッカの手の中のオレンジを差してイザークが言った。意味がわかってディアッカは笑う。触れるだけのキスじゃ物足りないのは自分だけじゃないってことらしい。
「りょーかい!」
2個ほど手にしてディアッカは給湯室へ向かう。部屋を出ようとしてディアッカは気がついてイザークを振り返る。
「イザーク、あのさ・・・」
「シホにはケーキでも買ってやれ。売店のじゃなくちゃんとした店のだぞ」
自分と同じことを考えていたイザークにディアッカはもう一度大きく了解、と敬礼してみせた。
射撃場でシホは規定の量をこなし終えてヘッドフォンを外すとため息をついた。
あのオレンジは、姉が自分のために送ってくれたものなのだ。
だけど、自分には残念ながらオレンジを贈りあう相手は今のところいない。
「っていうか、あの人たちの近くにいたら、一生無理なんじゃないかって気がするわ」
何もかもできすぎている二人。
でもそれが許せてしまうのもなんだか悔しくて、オレンジを持ってきてはみたけれど、きっとあの人たちに掛かればあれだって惚気のネタにしかならないのだ。
なんだか、考えるほど虚しくなってくる。
「ああ、もう、帰りにジャスミンでも誘って、ケーキビュッフェでも行こうかしら」
その頃ディアッカは隊長の命令できれいにカットしたオレンジを皿に盛り、隊長のもとに運んできたところだった。
照れるイザークに無理やりに「あーん」と文字通り食べさせていて、隊長執務室はまだまだ甘いオレンジの香りに溢れていた。そのドアは何故だか隊員を近づけさせない立ち入り禁止のオーラを漂わせていて、シホが訓練から戻ってくるまでは誰も近づくことができなかった。
2006/4/14
あとがき。
なんとか日付内に。
4/14はオレンジデーというらしく、サイト名にちなんでオレンジデーネタです。
でも、サイトに上げるのは日付すぎちゃったよ・・・(涙
大急ぎで書いたのでなんかいろいろあれですが。
-5-
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