好き、なんだと思う。
 愛しているなんて重々しい言葉なんかじゃなくて、自分の中にあるのは『好き』という気持ちで。いろんな『好き』の中で間違いなく最上級の『好き』。
 それがいつもいろんなところで自分をそっと幸せにする。
 さりげない笑顔だったり、背中からの抱擁だったり。髪の毛を絡み取る指先だったり、無茶をした自分をいさめる顰めた顔だったり。
 それがすべて自分に向けられているということが、すごく嬉しいと思うのだから、間違いなく好きなんだ、と思う。
 ただ、それを表に出して伝えることはあまりなくて。
 どちらかというと、自分に対しては一日に何度もささやかれる言葉だったから、聞かされることのほうが多くて。だから余計に自分が口にすることは出来なくなってしまっていた。
「・・・好き・・・」
 そっと口に出してみる。
 起きる気配のない様子にほっとして、もう一度ささやく。
「お前が好きだ・・・」
 言って自分で恥ずかしくなる。
 本当は起きているときに言わないといけないことだとはわかっているけれど。
 とてもじゃないけれど、そんなこといえそうもなくて。滅多になさそうなチャンスに口にした。
「・・・」
 寝息を立てるその顔に、安堵すると同時に、言葉にして改めて自分は好きなんだなと思い知る。その顔を見られることが、ただそれだけなのに、とても幸せだと感じているから。
 肘を立てて上半身を起き上がらせるとイザークはそっと自分の唇をディアッカのそれに押し当てた。
 柔らかな感触と暖かな熱。
 それっぽちのことなのに、自分がいつもとても幸せになれてしまうのは、相手がディアッカだからなんだな、とぼんやりと考える。
 そしてもう一度。今度は握っていた手を離して、その頬を両手で捉えてキスをした。
「ん・・・」
 手の中のディアッカは、うっすらを目を開けて視線をさまよわす。
 それを見ると、イザークはいたずらっ子のように笑って、布団をはいでディアッカの上にまたがった。 
 そしておもむろにディアッカを見下ろすと「おはよう」と言いながら寝起きの恋人にその鼻先を近づけた。









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