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 13時50分、予定のとおりに担当の下級士官がディアッカの部屋のインターフォンを押した。
「時間です、出頭してください」
 ドアを開けると見慣れた顔がそこにあった。収監されて以来、ディアッカの担当となったユウ・ハイマンド だった。
「いよいよですね」
短く刈り込んだ黒髪に青い瞳。同じ青でも無邪気さが浮かぶ色は、ディアッカの知っているものとはだいぶ印象 が違っていた。
「ああ、世話になったな」
収監されている立場のディアッカだったが、赤服という彼の地位と、ヤキンドゥーエでの戦果からかユウの瞳には 尊敬の色が見て取れた。ディアッカはそんな彼のことを弟のように思っていた。
ディアッカの言葉に悲観的な響きを感じてか、先を歩くユウは明るい声になって言った。
「そういえば、ディアッカさんはクルーゼ隊に所属していたんですよね?」
「ま、一応な」
 ザフトでの最後の所属は確かにクルーゼ隊だったが、それもずいぶん昔のことだ。それ以降のことが問題で  査問にかけられているのだから、いまさらその話題は関係ないとは思ったが、ユウの気遣いを思ってディアッカは  普通のトーンで応えた。
「クルーゼ隊はヤキンで隊長が戦死されたために、事実上活動停止になっていたんですが、どうやら正式に解散して 新しい部隊が編成されるようですよ」
クルーゼ隊はザフトではもっとも有名な部隊だった。だから、その隊長の戦死は大きな衝撃だったらしい。
ディアッカはアークエンジェルでフラガから大体の事情を聞いていたから彼が死んだことにはそれほどの感慨はなかった が、それでもクルーゼ隊が解散する、ということはディアッカに苦い感情を沸き起こらせた。クルーゼ隊が解散する ということは、彼とは別れることになる事実を突きつけることだったからだ。
「そっか。で、後任は誰だって?」
気を取り直してユウに尋ねる。
「正式な発表は2,3日後らしくて、まだ噂の段階なのでそこまでは。すみません」
必要以上に恐縮するユウに、かえって悪いことをした気がしてディアッカは軍服の襟を正してこう言った。
「教えてくれてありがとな、ユウ」
「いえ・・。いい結果になることを祈ってます」
敬礼するユウを残し、重厚なドアの前にディアッカは立つ。査問会場のドアが開き、ディアッカは中へ進んだ。






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