「まったく、こんなんじゃ先が思いやられるな」
 この先…、イザークが遠まわしに言う誓いの言葉にディアッカは思い切り笑顔になってぎゅっとイザークを抱きしめた。
「ずっと、ずっとイザークのことが好きだから…オレだけのイザークでいてよね」
 寄せられるやわらかい唇にゆるく開いたままそれを合わせてイザークは合間につぶやく。
「俺は守れない約束はしない主義だ」
 まっすぐに見つめる青く透き通る瞳にディアッカは目を細めて頷いた。
「うん…知ってる」
「なら、言うな」
 それに答える代わりにディアッカが返したのは深く甘い口付けで、イザークは酔うように瞼を閉じていく。
「ディアッカ…、お前こそ約束守れよ」
 元来気の多い男だから、と棘を含んだ言葉にもう一度苦笑しながら、ディアッカはイザークの制服の襟元に手をかける。
「大丈夫だよ。オレの体はもうイザーク以外に何も感じないから」
 言葉と同時にきつく喉元に刻印を刻むとイザークからは、うっすらと熱のこもった吐息が漏れた。
「…バカ、言う…な」
 強く抱きしめてイザークも自分からディアッカに口付けをして返す。
「バカはいまさらでしょ」
 イザークなんか好きになっちゃった時点でね、と笑うディアッカにつられてイザークも笑う。
「確かに、な」
 出生率の向上のために婚姻統制が布かれているプラントで、男同士で愛し合うなんて馬鹿げている以外の何者でもないのだ。
 でも、それでも。自分たちは愛し合ってしまった。
 きっとどうやっても贖うことのできない大罪を背負った者同士、きっと永遠に離れることなんてできない。
 だからこそ。
「大事にするから」
 ディアッカの言葉にイザークは頷く。
「当たり前だ」
 そして二人は見つめあい、笑いあった。
 ほんの少しだけ許された穏やかな二人だけの時間。数時間後に別々の道が明らかになるそのときまで。
 穏やかな光の差し込む部屋で、二人はお互いを求め合い、熱を刻みあった。
 ずっと、傍にいる、その約束の証に。

 ダイアモンドの原石たちは、まだ互いに本当の輝きを知らないままで。






2006/6/19









あとがき。


随分ぶりの更新作品です。
といっても、半分くらいは書き溜めしていた話なんですが。(いわゆるお蔵入り)
一から書くのは無理なので、引っ張り出しての作業でした。

自分的には書く感覚が戻っていない状態で書いたので、
冷や汗ダラダラですが、リハビリってことで、大目に見てください。









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