ディアッカは「何か」に違和感を感じて、意識するより早くイザークに飛びついていた。
「イザークっ」
 パァァンッ。
 同時に響く発砲音。  違和感の元である、いつもと違う警備員はその場を走り去っていく。
 ディアッカの下敷きになりながら、イザークはうめく。
「っ」
 その脇を二つの影が走っていく。アスランとニコルだった。あいつらなら犯人を捕り逃すことはないだろうと安心する。
 そしてディアッカは下にいるイザークに声をかけた。
「怪我ないか?」
「ああ、無事だ」
 さすがに反射的に受身をとっていたようで、イザークに怪我はなかったようだ。
「よかった」
 イザークの笑顔にほっと安心する。
 そしてディアッカは気づいた。自分の背中が変な熱をもっていることを。ゆっくりと起き上がりながら、手を当てる。ぬるり、と嫌な感触がそこにはあったが、それにはかまわずに両手を突いて起き上がる。
 その間にもディアッカの制服は赤い広がりを見せていく。量が多い。場所が悪かったようだ。
「ディアッカ!!お前っっ」
 ディアッカの下から起き上がったイザークはそれに気づいて怒鳴りつけた。
「わりぃ、ドジった。お前の言ったとおりだな、訓練不足ってやつ?」
 笑おうとするが痛みに顔がゆがむ。こんな顔イザークに見せたらまずいのに。心配してイザークの顔をみると、きれいな顔はいつもよりさらに血の気を失っているようだった。
「大丈夫だって、イザーク」
 言いながら立ち上がろうとして、ディアッカは気がついた。右脚が動かない。
「…」
 まさか、神経をやられた? 考えている間にディアッカの異変にイザークは気がついたらしい。
「どうしたんだ、お前っ」
「ごめん、オレ、動けない、かも」
 じくじくと痛みを伝える部分の神経は無事らしく、熱と痛撃に耐えながら伝えるのが精一杯だった。


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