イザークは自分に近づいてきた男の子がぞばにいて遊んでくれるのだと思っていた。お母さんは何度も子供を連れた人とこの部屋にやってくるけど、自分のことなんて見てもくれないですぐに部屋からでていってしまう。もう何度もそんなことを繰り返していて、つまらなくてさみしくて、本当は泣きそうになっていた。いつも忙しくて家にいないのも寂しかったけれど、家にいるのに自分のことをかまってくれないのはもっといやだった。
だから、あの子がきたときにお母さんに知らん顔をしてやろうと思って横を向いたのだ。そうしたらあの子が隣にやってきたから、自分のことをわかってくれたんだと思った。
金色の髪の毛がとてもきれいで、触ってみたらふわふわしていて気持ちよかった。だからこの子といっしょに遊ぼうと思ったら、自分を突き飛ばして違う子のところに行ってしまった。イザークにはそれが面白くなかった。本を読んでいたけれど、それももう飽きてしまった。何より金色の子が自分に構わずに楽しそうにしているのが気に入らない。
するとベッドの上にいたイザークがそこから降りて床で遊んでいるアスランとディアッカに近づいた。そして何も言わないまま、ディアッカではなくアスランの頭を叩いたのだ。
ばしっ!!
子供のすることには手加減というものがない。
思い切り叩かれたアスランは一瞬びっくりした顔をしてそれから状況を理解すると火のついたように泣き出した。
「うわぁぁぁーーーん、うあぁーん」
大声を上げて泣き出しているアスランを叩いた張本人は部屋の隅に控えているメイドのところに駆けていった。驚いたメイドは視線を下げてイザークを覗き込む。
「どうしてあんなことするんです、イザークぼっちゃま」
問いかけにイザークは目に涙をいっぱい溜めて訴える。
「あいつがいけないんだ。金色の・・・僕の、なのにとった・・・」
言い終わるとメイドのスカートに顔を押し付けて、びぃびぃと泣き出してしまった。部屋の真ん中で泣いているアスランにはもう一人のメイドが駆け寄る。
「大丈夫? もう平気だから泣かないでね」
「いたぁい、うわぁぁん」
そういって頭を撫でてやるとふいぃっんとしゃくりあげながら、それでもぼろぼろと涙をこぼしてメイドにしがみついた。するとその泣き声が部屋中に伝染した。同じような年頃の子供が多いせいか次々とつられて泣き出してしまったのだ。ほとんどの子供がわぁわぁと泣き出して部屋中が泣き声の大合唱になっていた。二人のメイドは困り果てて互いの顔を見合っている。
「どうしましょう・・・」
「しばらくしたら収まるからもう少し待ちましょう」
そういいながら、二人は次々と泣いている子をなだめにかかる。騒ぎの原因を作り出したイザークはソファの上に座らされていた。
部屋中で唯一泣いていなかったのはディアッカだった。ただただびっくりしてアシュランという子を叩いていった女の子を目で追っていたのだ。
あの子、おんなの子なのにつよいんだぁ。でもやっぱりないちゃうのはおんなの子だからなんだな、だっておとこはなかないんだもん。
そう思っていると女の人に抱っこされてその子はソファに座らされた。それでもまだ泣き止まなくて、ひっくひっくぅと一人で繰り返している。
ディアッカは立ち上がるとその黒髪の女の子のところに歩いていった。
「泣かないで、ぼくがいてあげる」
そう言って隣に乗り上げるとぴったりと横に座る。そして黒く輝いている長くてまっすぐの髪を手のひらでそっと撫でてやった。
「ほんと?」
「うん、おとこはうそつかないんだ」
「じゃぁやくそく」
イザークは自分の指を差し出す。それにディアッカも同じ指を絡めてにっこりと笑う。
「うん!やくそく」
いま鳴いたカラスがなんとやら。その言葉そのままにイザークは嬉しそうに笑った。
部屋の中で泣いていた子供は与えられたおもちゃに気を取られて泣き止む子や、疲れてしまった子と徐々に勢いを失っていて落ち着きをとり戻していた。その中でいつのまにか騒ぎの原因のイザークはニコニコと笑ってソファの上でもう一人の子と並んでお気に入りの絵本を読んでいる。
「まったく、子供っていうのは」
一人のメイドがいい、もう一人も相槌を打つ。
「大人には理解できませんね。きっとこんな騒ぎだって明日にはけろっと忘れてるんですよ」
その言葉のとおり、この騒ぎは親たちに伝えられたがそれも笑い話で終わってしまい、本人たちは思い出すこともなく、深く記憶の底にしまい込まれることになった。
End
2005/10/8
あとがき
お題「幼き日の二人」。
絶対書けないと思っていたのにふいに思い浮かんで書きました。
うちの設定では幼馴染ではないのですが、
会っている可能性はあるなぁと思って書いてみました。
子供が泣いたりする場面には縁のない私ですが、イメージで書いてみました。
実際のところはどうなんでしょう?>お子様持ちの読者さま(笑)
設定としてはアスラン1歳、ディアイザ2歳くらいですが、実際の発達年齢は知らないし
コーディだからあまり気にしないでいいかなぁと思って。超テキトー(笑)。
イザークを黒髪の女の子にしたのは私の趣味です、いや、なんとなく・・・。
黒といっても茶色の入った明るい黒髪がイメージ。
お題「幼き日の二人」。
絶対書けないと思っていたのにふいに思い浮かんで書きました。
うちの設定では幼馴染ではないのですが、
会っている可能性はあるなぁと思って書いてみました。
子供が泣いたりする場面には縁のない私ですが、イメージで書いてみました。
実際のところはどうなんでしょう?>お子様持ちの読者さま(笑)
設定としてはアスラン1歳、ディアイザ2歳くらいですが、実際の発達年齢は知らないし
コーディだからあまり気にしないでいいかなぁと思って。超テキトー(笑)。
イザークを黒髪の女の子にしたのは私の趣味です、いや、なんとなく・・・。
黒といっても茶色の入った明るい黒髪がイメージ。