腕の中、甘えてきた恋人を抱きしめたディアッカは言う。
「俺はべつにそんなこと言ってない!」
そう強がってはいるけど、ごまかしなんて効かないこともわかってるだろうに。
「じゃぁなんで自分からキスしてきたの? いつもはそんなことしないのに」
「それは・・・べつに・・・理由なんてない」
あやふやにいうイザークは誰より正直だ。
「そうなの? ほんとに?」
「うるさいぞ、お前!」
こぶしをオレの胸板に叩きつけて文句を言うのは精一杯のプライド。
「いつもオレがしたがってるって決め付けてない? 少し誘えばオレがすぐにしたがるとかって」
くすくすと笑いながら言う。
「そんなこと・・・!」
「お互いそーいう気分が合わない日だってあるわけだし。実際、イザが本気で嫌がる日は、オレは無理強いしないでやめるしね」
言われてイザークは記憶をたどっている。
「でもイザがしたいならしていいよ。イザが溜まってるなら気持ちよくしてあげるよ。恋人としてそーいうこともちゃんと面倒見なきゃね」
ウインクして言うとイザークは顔を真っ赤にして怒り出す。
「そんな必要ないっ!」
言って体を剥がそうとする。
「本当にいいの? イザ、もう体、熱いんじゃないの?」
甘えてねだってきたキスは、いつもよりずっと熱っぽくて積極的だった。
「そんなこと・・・・・・ない」
どこまでも素直じゃない。自分からしたい、なんてきっと死んでもいわないんだろーな。
中途半端でやめるなんて、オレなら絶対やだけどね。
仕方ないと笑いながら口づけてささやく。
自分からキスしてきただけでも、ずいぶん進歩したのだから。
「じゃ、しよっか? オレがしたくなったから」
言って抱きしめると、またキスをねだってくる。
仕方ないな、と思っているはずなのに、その姿がたまらなく愛しいと思って、その熱を欲してしまうのは、やっぱり骨抜きにされているからなんだろうか。
深く口付けをしながらそんなことを思う。
「ねぇ、一回くらい『して』とか言ってみない?」
からかいながら言うとイザークは反論してきた。
「そんなこと言うか! だいたい『して』なんて一方的な言い方は間違ってる! お互いに『する』ものなんだからな」
言い切られてしまうと確かにそうだ。
艶っぽく姿態をさらすイザークを前に、オレ自身が奉仕するだけで終わるわけがないのだから。
「・・・ごもっとも」
言って肩をすくめると、服の下に手のひらを滑り込ませる。
「ディア・・・」
甘えた声とともに、金髪ごと抱き寄せられて。
今日の夜も長くなりそうだ、とディアッカは改めてその唇にキスを降らせた。
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2005/4/26
拍手SSに書いたものの
R15なので没にしたのでこちらにUP
R15なので没にしたのでこちらにUP