「なんでそんな下らんことに俺が加わらなけりゃならないんだ!」
ラスティの提案にイザークが憤慨した。だがそれは予想の範囲内で、ニコルは穏やかにとげを刺す。
「ここで加わっておけばだまされる危険性は極めて低くなりますが、イザークは自分からリスク回避を断るなんてさすがですね」
要するに仲間にならなければだまされる側にまわるだけだ、と言いたいわけだが、その内容にイザークは黙り込む。
「・・・カモにされるのはもっとごめんだ」
言ったイザークにラスティは機嫌がよくなる。
「じゃ、決まりー!」
その隣ではアスランが一言も言わずにやれやれとため息をついている。イザークほど表立って断る勇気はないものの相当乗り気ではないらしい。
「じゃぁじゃんけんで役割決めましょうか」
ニコルの提案にラスティもうなずく。
「勝った奴が指揮官で、あとは仕掛け人だな!」
それに反対する意見はなく、ラスティが掛け声をかけた。
「じゃーんけーんっ」
ばっと出た4本の手。
3つの視線が勝利者の顔に集中する。
唯一勝ったのはチョキを出したニコルだった。
「あーあ」
つまらなそうにつぶやくラスティ。
「・・・」
無言ながらに仕掛け人決定に面倒がるアスラン。そしてじゃんけんでも負けたことに悔しがるイザーク。
「くっそ!」
するとニコルは思いがけない提案をした。
「じゃぁ、僕が指揮官として提案します。僕はディアッカを呼び出す役をするので、もう一度じゃんけんをして勝った人が作戦の立案実行をしてください」
「は?」
聞き返すラスティにニコルは遠慮がちに答える。
「僕はそういう面白いことは苦手ですから」
メンバーで一番年下ということもありニコルはそのてのイベントで最前線に出ることをしようとしない。
「よっし。じゃぁもう一度やって勝てばいいんだよな?」
確認するラスティにニコルはうなずく。
「ええ。ラスティ、指揮官したいんでしょう? 勝ってくださいね」
「ふん、じゃあ俺が勝てばくだらんことから抜けられるわけだな」
そういうイザークは無意味に軍服の腕まくりをする。
「・・・できれば俺も観客に徹したいんだけどな」
つぶやくアスラン。
その3人を見回しながらニコルがじゃんけんを仕切る。
「いいですか? じゃーんけーんっ」
ばばばっ。
差し出された3本の手。今度も一人だけ違う手になった。だが、決まったのは敗者だった。
「・・・・くっそう!!」
イザークだけがグーをだし、その瞬間に最下位が決定した。
悔しがるイザークにラスティが追い討ちをかける。
「イザークの仕掛け人は決定!」
「・・・言われなくてもわかってる!」
そして指揮官を決めるべくさらにじゃんけんが繰り広げられる。
「じゃーんけんっ」
ぱっと出された二人の手。結果はラスティの勝ちだった。
「やったー!」
無邪気にはしゃぐラスティに、逃げだせなかったことに複雑な表情のアスラン。
「ふん、きさま、じゃんけんは弱いんだな」
そのアスランに突っ込みを入れるイザークだが、すぐさまあっけなく切り返される。
「一番負けたやつには言われたくないな」
「なんだと・・・・!」
そこで言い争いになりそうな気配に慌ててニコルが制止に入る。
「二人とも、指揮官はラスティなんですから指揮に従ってくださいよ」
曲がりなりにも軍人の端くれである彼らは指揮に従うという言葉には逆らえない。しぶしぶうなずくとにやけ顔でなにやら考えているらしいラスティの指示をおとなしく待った。
「じゃぁ、イザークとアスランが仲良くしてる、っていうのはどう?」
ラスティの提案に観客を決め込んでいるニコルがにっこりと笑う。
「なるほど。ディアッカを驚かすには効果的かもしれないですね」
ニコルが言うとイザークが噛み付いた。
「冗談じゃないっ、なんでこんな奴と! 仲良くだとぉ? 」
「・・・負けは負けだ。あきらめるんだな」
ぼそりとあきらめの境地のアスランが言うとイザークがキッとにらみつけた。
「アスランの言うとおりですよ、イザーク。今回はあきらめてください」
「・・・勝ったからってずいぶん余裕だな、ニコル」
負け犬の遠吠えよろしく言うイザークに表情も変えずに年下の少年は答える。
「ええ。自慢じゃないですけど、僕、じゃんけんの勝率は8割超えですから」
「8割―?」
「・・・ふざけてる」
驚きを声に出すのはラスティで、思わぬ逆襲に沈み込むのはイザーク。
「それは・・・十分自慢していいと思うぞ・・・」
冷静な感想を述べるアスランにニコルは笑顔で言いのける。
「だから絶対やりたくないことを決めるときはじゃんけんを提案することにしてるんですよ」
そういうニコルを前にして、一番年下の穏やかな少年が実は一番怖い人間だと気づかされる3人なのだった。
END
2005/4/5
突発的SSS。
エイプリルフールな話の裏話。
今回主役はイザのはずがいつのまにかニコルになってた・・・。
エイプリルフールな話の裏話。
今回主役はイザのはずがいつのまにかニコルになってた・・・。