慌てて立ち上がるディアッカの目の前でイザークはとっとと膨らましたボールを思い切り強く手のひらで打って飛ばした。
「あっ、バカ!そんな遠くにやったら、引き波で持っていかれるだろ」
騒ぐディアッカにイザークはふん、と笑う。
「早く追いつけばいいだけの話だ。逃げ足は早いくせに自信ないのか」
言いながらイザークは着ていたアンダーのシャツを邪魔臭そうに脱ぎ捨てる。振り上げた髪がキラキラと日の光に照らされてディアッカは自分の鼓動が跳ね上がるのを感じた。それと同時に気がつくとイザークの腕をつかんでいた。
ぐいっと引き寄せるとイザークは砂に足を取られてバランスを崩す。
「お前、何をっ・・・」
抗議する体を抱きとめてディアッカはその唇にキスを降らせた。
一瞬驚きに見開かれた蒼い瞳が濡れた目蓋に隠れると褐色の背中に白い腕が回る。
甘い口付けを交わす二人に聞こえるのは、ただ波の音だけだった。
長い数瞬の後に、ようやく唇を離したイザークの顔を見ると、ディアッカはその傷跡にそっと唇で触れた。見上げるイザークは何も言わない。黙ってもう一度ぎゅっと抱きついただけだった。
「あっ、ボール!」
イザークの声で沖を見ればもう随分と小さくなったスイカ模様のビーチボールが波間に漂っている。
「げ、随分遠くなってない?」
同じようにシャツを脱ぎながらディアッカが言うとイザークはすでに走り出している。
「勝負だからな!」
「あ、待てよ」
波に向かって飛び込みながらイザークは振り返って大声で言う。
「待てって言われて待つ奴はいないんだろ?」
笑いながら言うイザークは、いつも前を向いているイザークらしくて、ディアッカはその背中を夢中で追いかけた。
先のことなんてわからないけれど、今はイザークが生きているってことが大事だから。そしてそのイザークの傍にいられればそれでいい、そう思いながら・・・。
END
2005/9/10
あとがき
スランプ砂漠のど真ん中で、とっても苦労しながら書きました。
50000hit超、キスシリーズ第7弾ということで「OCEAN」です。
タイトルがあまりのそのまま過ぎますが、曲を聴きながら書きました。
すっごいディアイザなんですよ、この曲(笑)。
歌詞をみた瞬間二人の姿が浮かんだんですが、
なかなか文字にならないで苦労しました。
キスシリーズはとりあえずここで打ち止めとさせていただきます。
区切りのいい5万までは続けてみましたが、もうネタがないので。
遊びに来てくださる皆さんのおかげでここまでやってくることができました。
本当にありがとうございます。
スランプ砂漠のど真ん中で、とっても苦労しながら書きました。
50000hit超、キスシリーズ第7弾ということで「OCEAN」です。
タイトルがあまりのそのまま過ぎますが、曲を聴きながら書きました。
すっごいディアイザなんですよ、この曲(笑)。
歌詞をみた瞬間二人の姿が浮かんだんですが、
なかなか文字にならないで苦労しました。
キスシリーズはとりあえずここで打ち止めとさせていただきます。
区切りのいい5万までは続けてみましたが、もうネタがないので。
遊びに来てくださる皆さんのおかげでここまでやってくることができました。
本当にありがとうございます。