Daytime
「では、こちらは私が。そちらはディアッカ副長がということでよろしいですか?」
 隊長室に呼ばれたシホはイザークに指示された内容を確認しながらてきぱきと必要な書類をまとめる。
「ああ、それでいい」
 イザークは頷くとディアッカを仰ぐ。
「オッケー。ご苦労さん」
 言ってディアッカはシホから書類を受け取った。
「では、失礼します」
 シホは敬礼をすると踵を返して部屋の出口へと向かう。そこで改めてイザークを振り返ると軽くお辞儀をして部屋を出て行った。
 ウィンッ。
 ドアの開閉音のあとにシホの姿が壁の向こうに消える。
 プシュッ。
 ぴっちりとしまったドアをイザークが確認するよりも早く、ディアッカはその脇に立つと、腰を曲げてイスに座るイザークを覗き込むようにして唇を奪った。
「・・・ん・・・」
 イザークの腕が伸びてディアッカの服の裾を掴む。
「・・・71」
 呼吸の切れ目にイザークはつぶやく。
「じゃぁこれで72・・・」
 ディアッカはイザークの頭を支えるようにして抱える。イザークもディアッカの首に両手を回し、強請るように唇を重ねた。
 そこへけたたましい電子音が響き渡る。
 機嫌を損ねたように軽く眉根を寄せながら少しだけ顔をずらしたイザークはデスクの上のモニタフォンを『サウンドオンリー』にして回線をオープンにした。
「何か?」
 努めて普通のトーンに抑えながらイザークは応える。イザークが抗えないのをいいことにディアッカはその喉元へ口付けを降下させていく。
「イワマです。隊長宛に荷物が届きましたが、そちらへお持ちしますか?」
 その内容につまらないことで邪魔をされたといった顔をしてイザークはそっけなく指示をする。
「そんなものは後でディアッカにやらせるっ」
 その早口が喘ぎ声が漏れるのを避けるためにされたことだとはしらない隊員は、機嫌を損ねてしまったと思って慌てるようにして回線を切った。
「わかりました、失礼しましたっ」
 ブチッという音の後に、画面は真っ黒に戻る。
「バカ! 調子にのるな! そんなの回数とは関係ないだろうがっ」
 いつのまにか襟を外して鎖骨に顔をうずめているディアッカの後頭部を拳で叩きながら、イザークは副官の体を引き剥がす。
「惜しいなー。もう少し長引けば面白かったのに」
 そんなディアッカにイザークは蹴りを食らわせる。
「調子に乗るなら、カウントやめるぞ」
 睨むようにしてディアッカを見上げるイザークに、慌てるようにおどけてディアッカはその口元に忍び寄る。
「それはなしだぜ。せっかくここまできたのに・・・はい、73」
 軽く触れるように重ねながらイザークは立ち上がる。
「もう、帰るまで禁止だ」
「ええ、何でだよー」
 人目を盗んでとはいえ、職場でのキスをイザークが許したことを楽しんでいたディアッカは急に言い出したことに抗議する。
「ここまでくれば、あとは家に帰ってからだって足りるからな」
 そういって悠然と数歩離れて、心底楽しそうな顔をしてディアッカを眺めた。
「残念だったな。昨日のペースで行けばあと30くらいどうってことない数だ。お前のくだらん楽しみもおまえ自身の行いでもう幕引きだな。自業自得だ」
 白い隊長服の襟元を正しながら、ふわりと微笑んだイザークはそれはそれは至極美人で、ディアッカはそのままキスをしたくなった。
 近寄ってその腕を取りながら腰を抱き寄せる。
「ダメだ!」
「お願い! これで最後だから」
 言うなり唇を強引に塞ぐ。
 けれど、イザークも言葉ほど強く拒絶はせずに、それを受け入れながら、口には出さずにカウントをまた1つ重ねた・・・。







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リクエストをいくつか頂いたので、
『Lots of kiss』の続編で昼間の二人。


日記に載せていたものを、トップページから消えたのでこちらに掲載

 
 

END


2005/5/9