ぼそりとつぶやいた言葉にイザークは視線を上げる。
「お前が寝込んでも、俺は、何も、出来ないぞ・・・」
手を握られて気力が戻ってきたのか、イザークはそんなことを言った。それにディアッカは笑いながらイザークの髪をかき混ぜる。
「そんなことしてもらわないよ。イザークには移らないように近づけさせないから」
つられるように少しだけ笑いながら、イザークはふいに体をよじった。
「どうした?」
「気持ち悪い・・・」
苦しそうに眉を寄せてイザークは言った。立ち上がりながらディアッカは洗面器を取りに行こうと握っていた手を離す。
「ディア・・・」
名を呼ばれて振り返りながら、ディアッカは短く答える。
「洗面器取ってくるから、ちょっと待てよ」
体をくの字に曲げて必死に耐えるイザークの元に、文字通りディアッカはすぐに取って返した。
その体をさすりながらディアッカはイザークを気遣う。
「吐くか? どうしたい?」
問いかけに顔だけで否定しながら、イザークはディアッカの手をぎゅっと握った。
「吐くと、体力消耗する・・・」
「そんなこと言ったってさ」
我慢するのも辛いだろうに、と困った顔で恋人はそのそばにしゃがみこんだ。
「それ、より・・・」
苦痛のヤマを超えたのか、顔を上げたイザークは上目遣いにディアッカを見る。
「何?」
これ以上ないくらいに優しい顔で聞き返しながら、その手を握り返す。
「隣に・・・」
言葉を途切れさせながら言うイザークが何を言いたいのかディアッカは理解した。
「隣に、って一緒に寝ろってこと?」
コクリ、と頷くイザークに軽くため息をつく。
「そんなことしたら休めないだろ?」
諭すように聞かせるが、イザークは引き下がらない。
「眠るまででいい・・・少しだけ・・・」
そう強請られてまで、制止できるほどディアッカは強くなかった。イザークが好きだからこそ無理をしないようにとは言うものの、そのイザークが苦しい中で自分の隣で寝ることを欲しているなら、それをかなえてやるという選択肢しかありえなかった。
「仕方ないなぁ」
そう苦笑しながら、着ている軍服を脱ぎ始める。
「眠るまでだからな」
アンダー姿になると、そう言ってイザークのベッドに腰掛ける。
苦しいはずなのに、嬉しそうに頷いて端に寄りながらイザークは布団を持ち上げた。それにあきれながら、ディアッカは笑う。
「いつもそーやってお誘いしてくれたら嬉しいのに」
途端に恥ずかしさに顔をこわばらせるイザークの隣に滑り込みながら、ディアッカはその頬にキスをひとつ見舞ってやる。
「冷たい・・・」
触れた唇のことを言ってイザークは不思議そうに笑う。
「そりゃ、今はイザークのほうが体温高いからね」
言いながらその体を抱きしめるように寄り添ってディアッカは耳元でささやいた。
「早く治れよ。オレに移してもいいから」
甘い声に頷きながらイザークはゆっくりと目を閉じた。
「ディア・・・ッカ・・・」
くぐもった声で名を呼ばれ、紫の瞳が覗き込む。
「何?」
「ありが、とう・・・」
言われ慣れない言葉に一瞬目をしばたかせ、それから白い額に口付けをしてディアッカは「どういたしまして」とつぶやいた。
END
2005/6/23.
あとがき。
自分が体調を崩したので、イザークを寝込ませました(笑)
うちのディアッカはなんでもできるスーパーマンになってきてしまいました・・・。
そのうちイザークのためなら空でも飛んでしまいそうです(苦笑)
そして、ついに日本語のタイトルに手を出しました・・・。
センスのなさが一目瞭然で穴があったら入りたいです・・・
自分が体調を崩したので、イザークを寝込ませました(笑)
うちのディアッカはなんでもできるスーパーマンになってきてしまいました・・・。
そのうちイザークのためなら空でも飛んでしまいそうです(苦笑)
そして、ついに日本語のタイトルに手を出しました・・・。
センスのなさが一目瞭然で穴があったら入りたいです・・・