手元に置かれた短冊を取り出して問いかけるディアッカに、イザークは紫の瞳を覗き込む。
「どうせお前はまた同じなんだろう?」
「まぁね。他にオレが望むものなんてないし」
オレはイザークのそばにいられればそれでいいから、とディアッカは笑う。
「なら、内容を変えろ」
そんなディアッカにイザークが突然言い出した。
「は? 何を変えろって?」
イザークの注文にディアッカは怪訝そうな顔をした。
「二人でずっと一緒にいられますように、って書け」
言われたディアッカは、内容としては変わりなかったのでおとなしく言われるままにペンを走らせる。そして最後に自分の名前を記した。
「書いたけど?」
するとイザークはディアッカの手から短冊とペンを取り上げると、床においてスルスルと何かを書き込んだ。
「イザーク?」
ディアッカが手元を見れば、自分が書いた短冊のサインの横にイザークの名前がある。
「去年は一人で書いて願いが叶ったからな。二人で書けば絶対だろう?」
悪戯っぽく笑う顔は、けれどどこか逃れられない現実を怖がっているようにも感じられる。去年は使わなかった「ずっと」という言葉を使ったイザークの気持ち。それは、戦場へ出る覚悟のようなものかもしれないと思って、ディアッカはそっとその頬に触れて微笑んだ。
「あぁ。イザークとオレの願いだったら絶対叶うでしょ? オレは毎年叶ってるしね」
その言葉に頷くとイザークは立ち上がる。
「飾るぞ!」
促されてディアッカも縁側に置いてある下駄を引っ掛ける。
「なるべく高いところに飾るんだからな」
伸び上がるようにして手を伸ばすイザークの先にディアッカは軽くジャンプするとより高い枝を掴み取った。
「ほら、ここなら一番高いぜ」
与えられた枝に張り切ってイザークは短冊を結びつける。
「よしっ」
言うとイザークは手を離し、笹の枝は大きくしなって空へ高く戻っていった。慣性で振れる枝先には二人の願いが書かれた短冊が揺れる。その遠く先には人工の天の川。
その枝先を見上げながらディアッカは言った。
「来年はどうなってるかわかんないけどさ。できる限りはずっとこうして二人で過ごそうな」
頷いたイザークはディアッカに寄り添うようにしていつまでも揺れる短冊を眺め続けた。
END
2005/7/6
あとがき。
七夕ネタです。
珍しくタイトルから思いついて書き始めました。
短冊には願い事を書くのが本来ですが、二人の書いた内容は
願いというよりは祈りに近いかなと思って。
イザは願うくらいなら、自力で実現させそうですし・・・。
この話はアカデミー時代の設定なので年表を何度も見ながら書きました。
そしたら「来年」はメンデル再会の直前だと知って、自分で書いた話なのに
切なくなってしまいました(バカ;)
あと、浴衣! 七夕なら浴衣だろうと思って書いたんですが、
書いてるうちに着せた浴衣を脱がせたくなってしまいました・・・続きは裏か?(笑)
畳と浴衣ってそそるよねーとか、表で言ってる話じゃないですね(苦笑)
ちなみに背景は蛍というタイトルの壁紙を頂いてきました、こちらも季節物です
七夕ネタです。
珍しくタイトルから思いついて書き始めました。
短冊には願い事を書くのが本来ですが、二人の書いた内容は
願いというよりは祈りに近いかなと思って。
イザは願うくらいなら、自力で実現させそうですし・・・。
この話はアカデミー時代の設定なので年表を何度も見ながら書きました。
そしたら「来年」はメンデル再会の直前だと知って、自分で書いた話なのに
切なくなってしまいました(バカ;)
あと、浴衣! 七夕なら浴衣だろうと思って書いたんですが、
書いてるうちに着せた浴衣を脱がせたくなってしまいました・・・続きは裏か?(笑)
畳と浴衣ってそそるよねーとか、表で言ってる話じゃないですね(苦笑)
ちなみに背景は蛍というタイトルの壁紙を頂いてきました、こちらも季節物です